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Aera MFC / SAM MFC マスフローコントローラーとは MFCの構造と基本原理

MFC.jpgマスフローコントローラーとは

マスフローコントローラー(以下MFCと称す)は、その名の通りマス(質量)の流量を制御する機器(質量流量計)であり、一般的に使用されている体積流量を計測・制御する機器とは計測原理が異なります。
体積流量は計測対象となる流体が「環境温度」や「使用圧力」等の変化により体積変化が生じ、正確な流量を計測する場合は変化量に合った補正を行う必要がありますが、質量流量は流体の質量(重さ)を計測する事により、使用条件の変化による補正を行う必要がありません。
そのような特性を持つMFCには次のような特徴があります。

  1. 温度・圧力の変化により体積流量が変動しても、質量流量を安定に制御できます。
  2. 質量の流れがあれば減圧(負圧)においても使用できます。
  3. あらゆる気体に対して使用できます。
  4. センサにより流量を計測しながらバルブを制御する為、高精度で優れた再現性と安定性を有します。
  5. 制御はすべて電気制御であり、自動制御に適しています。

MFCは、その優れた特徴から、さまざまな産業において有効に活用できますが、現在ではその市場のほとんどが
半導体製造に向けられています。それは、プロセスガスの高精度な流量制御が半導体製造工程において不可欠で
あり、その制御にMFCがもっとも適しているからです。
今後は、半導体産業のみならず燃料電池等の関連分野においてもMFCの需要はますます拡大していくものと
思われます。

MFCの構造と基本原理

MFCは、基本的に次の3つの要素から構成されています。
・センサ部
・コントロールバルブ部
・電気制御回路部

MFC drawing.jpg図1に構成要素を示しますが、MFCに供給された気体は、まずセンサを通過し、センサではその通過する質量流量に比例した電気信号が出されます。
センサには非常に細かい管が使われ(内径0.23mm)
微差圧(0.98kPa)で微小流量(数cc/min)が流れる
状態で使用されます。制御する流量がセンサ許容流量を
超える場合には、バイパスを設けて通過する気体を分流
します。
バイパスはセンサと同様、通過する気体が層流になる構造であり、常に一定の比率でセンサに気体を分流し、その
正確な分流比により、センサを通過する流量からトータル流量を計測することができます。
センサから出された電気信号は、0~5VDCのリニアな信号として増幅され流量出力信号として外部出力されます。
MFCの流量設定は、0.1~5VDCの信号を外部から入力しますが、この信号とセンサからの信号出力が比較され、
その差信号によりコントロールバルブを作動させ、常に設定された流量になるよう制御されます。
①:検出回路で質量流量に応じた出力(数mVDC)が検出されます。
②:増幅回路によって①で得たセンサ出力が0~5VDCに増幅されます。
③:②の信号は表示器に行く一方、比較制御回路で外部からの設定電圧(0.1~5VDC)と比較され、
  差分を打ち消すようにコントロールバルブを動作させます。

MFCの流量単位

MFCの流量単位は、本来質量流量(g)で表すのが基本ですが、気体流量計測の歴史から現在も体積流量で表示して
いるのが現状です。
この場合、0℃、1気圧(101.33kPa)の体積流量で表し、単位としては
SCCM(Standard Cubic Centimeters Per Minute)
SLM(Standard Liters Per Minute)
が一般的に使用されています。